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3次元CAD/CAM ZW3D

ZW3D,IMSポストプロセッサの活用

松谷工業所

松谷工業所 制作例イメージ

ZW3D CAD/CAMは,「ZW SOFT」社が自社開発する独自のモデリングカーネルを用いた特に自由曲面のモデリングに優れた統合CAD/CAMソリューションである。手頃なシステム価格でありながら,アセンブリ,金型設計支援,製図,2D・2.5Dから5軸まで対応したCAM機能を用意しており,製品開発,設備設計,金型製造など,デザイン工程から加工工程までの一連の作業に対応できる。
 とりわけ,三次元測定などで得た点群データからの曲面生成を中心としたリバースエンジニアリングに定評があり,手加工したモックアップのCADデータ化や曲面モデリング,プレス加工など成形品の誤差を反映させた金型表面の修正などに優れた効果を発揮する。
 本稿では,弊社ユーザである松谷工業所(東大阪市)の事例をまじえてZW3D CAD/CAMの特長を紹介する。

 ZW3D CAD/CAM導入の経緯 点群から曲面作成→そのままNC加工

 松谷工業所は,1965年(昭和40年)に創業した,生活雑貨やノベルティグッズ(景品)などの日用品や樹脂製の機械部品を,デザイナーが作成したモックアップや設計者のアイデアスケッチから手早く量産につなげる仕事を得意とする。生産性アップ・コストダウンのための既存部品の改善提案も積極的に行っている(製作例1・2参照)。
 ZW3D CAD/CAMの導入以前は,モックアップのみの状態からスタートする仕事は倣いフライスで加工するしか方法がなかった。このような中,

 ① モックアップを3次元測定した点群データを受け取ってCAD/CAM+NC加工で対応できる,
 ② 製品の表面に岩や石の表面の模様や凹凸を再現できる,

という基準で各社CAD/CAMの比較検討を行った。
 IGESやPARASOLIDの受け取りならば多くのCADが機能を備えているが,点群やSTLデータを受け取って適切な曲面を作成したい場合には,他のCADには機能がなかったり,あっても貧弱だったり,点群からの曲面が作成できても面を微修正する機能がないことも多い。
 また,CAMソフトを別購入するシステム構築は,質問や相談の窓口も複数になることや,操作を覚える手間や講習や保守サポートの費用が増えること,実務上ではIGES変換などの手間が増えるといった項目が課題であった。 さらに,金型の構想や組立図について製図を行ったり,顧客から図面データが届くこともあるため,図面データとモデリングの連携も重視した。結論として, ZW3D CAD/CAMが最も適切なシステムであると判断し,2002年8月に導入・立ち上げを行った。
 現在の同社は,取引先から3Dデータを受け取ってスタートする仕事のほか,製品のイラストやサンプルから図面を起こしたり,Shadeや六角大王などのデザインソフトから出力されたSTLデータなどのポリゴンからモデリングをスタートする仕事も増えている。

 

モデリング作業の流れ

 点群やSTLデータを受け取って,なめらかな曲面を作成するには,ZW3D CAD/CAMの標準機能として用意されているリバースエンジニアリングの機能を用いる。

図1-2 点群データの読み込み (1)点群データの読み込み・サーフェス化

 点群データは,日頃使っているExcelからも出力できるCSVファイルで用意されていればよく,ZW3D CAD/CAMはこのデータを読み込んで,ひとまず点群を作成する。
 一方,STLデータの場合は,そのまま読み込んでZW3D CAD/CAMの機能でSTLの頂点を点群に変換する。STLデータはASCII形式,バイナリ形式の両方に対応できる。
 なお,ZW3D CAD/CAMでは,500万ポイントというような大規模な点群データをひとかたまりの「ブロック」エンティティ(=図形要素)として認識でき,大規模な点群作業も快適に作業できる。(図1-1、1-2)
 点群からのサーフェス作成はワンコマンドである。必要に応じて領域を分割して,その範囲の点群だけを使ったサーフェス化もできる。

(2)サーフェスの修正・微調整
 
 作成したサーフェスの滑らかさや製品形状としての妥当性は,シェーディング,ゼブラマッピング,曲率表示など各種のレンダリング機能によって画面上で確認する。
 この作業によって形状に“納得のいかない”部分が見つかった場合は,サーフェスの変形機能を使うことが多いが,受け取った点群データの並び方に立ち返って点群の位置を手直ししたり,周囲のサーフェスを参考にして不具合のある領域を作り直したりする。(図1-3、1-4)
 また,そり等の不具合を予測して金型のモデルデータを補正するような場合にも,作る段階でZW3D CAD CAMの微調整機能を利用する。

図1-4 レンダリングによる形状確認 (3)動的干渉チェックが可能な金型向けの機能

 また,標準機能である動的な干渉チェックができるアセンブリモデリングの機能によって,金型の開閉に伴うスライドや各部品の動きの様子や,コンポーネント間で生じる干渉をチェックできる。なお,ZW3D CAD/CAMは,サーフェスで閉じた空間を自動的にソリッドとして認識するハイブリッドモデリングを採用しており,サーフェスとソリッドを区別することなく,機構部品などの設計が可能である。(図2)

(4)2D・2.5Dから5軸まで対応するCAM機能,
 
 点群からのサーフェス作成を完了すると,形状承認を得るためのモックアップを作成することもある。並行して金型設計も行い,モデルデータやモックアップの承認が得られ次第,すぐに部品の手配と加工にとりかかる。
 ZW3D CAD/CAMには,穴あけから同時5軸加工までの各CAM機能がラインナップされ,削り残し処理など金型加工に必要なツールパスの作成機能を備えることはもちろん,自動的に工具の送り速度を最適化して,効率のよい加工と工具磨耗の減少を実現できるAFC(Adaptive Feedrate Control)など高速加工に対応した機能があり,硬い金型材に対して効果を発揮する。
 また,2D,2.5DのCAM機能では,入力した加工手順や寸法値のパラメータ属性をもとにした穴あけやポケット加工,加工座標系を変更して多軸加工機による多面穴あけも可能である。(図3,図4)
 一方,モデリング機能には,CAM用のモデル準備に効果的なトリム輪郭を解除しなくてもワンコマンドでトリム面を延長できる曲面編集の機能や,金型モデリングの支援機能として,1ステップで簡単にコア/キャビ両方を作成する「モールドデザイン」(オプション)などの機能もある。


図1-3 点群からのサーフィス作成 図1-4 レンダリングによる形状確認IMSポストで多くのCAMに対応

 松谷工業所では,いずれもCNC装置はFANUC 16M等を搭載した牧野フライス製作所製×2台と大隈豊和製×1台の計3台のマシニングセンタが稼働しているが,ワークの大きさや,仕事の繁閑によっては近隣の同業者に加工を頼まれたりすることがある。
 このような場面に対応するため,1つのポストで複数のCAMからの変換ができ,コストパフォーマンスにも優れた米国IMSソフトウェア社の「IMSポストプロセッサ」(以下“IMSポスト”)を導入している。

 IMSポストは,主要各社のCAMソフトが出力するAPTおよびCLデータを,あらゆるNC工作機械のNCデータへ変換する高機能な汎用ポストプロセッサで,自動車,航空,総合家電など多くの企業で導入されている。
 他社製品の1/2~1/4の価格ながら,充実した変換ライブラリを標準装備しているので,導入したままでZW3D CAD/CAMのほか,CATIA V4/V5,Cimatron,Pro/E,Mastercam,SurfCAM,UNIGRAPHICS,I-DEAS,WorkNCなど主要なCAMのAPT/CLデータを読み込んで,各社のNC装置に対応したNCデータを出力できる。
 このほか,「円弧補間,直線近似変換」,「NURBS変換」,リニアライゼーション変換機能などの「多軸詳細設定」や「APT/CL→NC,NC→APT/CL」といった「双方向変換機能」などの機能をもつ。

図1-4 レンダリングによる形状確認  また,マクロ機能でカスタマイズされたNCデータにも対応し,「パターン認識機能」では,NCデータを読み込んでプログラム内で繰り返される標準的な仕様(ポケット,ボス等)部分の有無を分析し,これらがあればその加工のサブプログラムを自動生成する。サイズが小さく,効率的で読みやすいNCデータを生成できる。5軸CAM機能にも対応し,ポストプロセッサの設定を簡単に編集できる「ポストプロセッサ作成ウィザード」などのユーザインタフェースを用意している。

 このように,松谷工業所では,実践マシンウェアが販売するZW3D CAD/CAMとIMSポストを活用した金型づくりを展開している。

 松谷工業所では,今後,ZW3D CAD/CAMの標準機能でありながら現時点でまだ十分に活用できていない「製品データの管理(PDM)機能」や「CAEソフトとのインタフェース」の活用にも取り組む計画である。
 とりわけPDM機能は,比較的小規模な組織での協同作業に適した機能で,「ファイルと属性の検索」や「読み込み書き込みの権限」,「バージョン管理」そして「チェックイン/チェックアウトの管理」などができ,形状変更や設計変更の履歴管理に好適である。

 会社全体としては,いっそうの加工の高速化,5軸加工を取り入れた金型加工などによって納期の短縮やコストダウンに取り組みつつ,これまでの金型製造に加えて,すでに試験的な納入をスタートしている樹脂モデルやアルミの治具などの製作要望にも積極的に応えることで,取引先への一層のサービス向上を目指す計画である。


株式会社実践マシンウェア 営業部/『型技術』2004年10月号より抜粋



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